FM三重『ウィークエンドカフェ』2016年11月19日放送

大台町は面積のおよそ9割が森林の、林業が中心の町です。
今回のお客様である中須さんは宮川森林組合で働き、森を作るお仕事をしています。
以前は県外で自然の調査をするお仕事をされていたそうですが、ご縁があって宮川森林組合で現在働くことに。

伊勢出身の中須さんは小さなころから宮川の上流は、どんなところなんだろ~と心を躍らせていたそうです。
そして実際に見に来たときは、感動でいっぱい。
大好きな山・森、自然に触れるお仕事をされています。
この大台町のフィールドをいっぱい使って、素敵な活動が始まっています。

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台町全体がユネスコエコパークとして登録!

この3月に大台町全体が、『大台ヶ原・大峯山・大杉谷ユネスコエコパーク』として拡張登録されました。
町全体の自然環境が豊かであることが認められたのかなと思いますね。

 

代が植えてきた山が50年経ち、次の森を作る時期に

基本的には杉やヒノキなど、先代が植えてきた山を、今50年以上たって収穫する時期に来ています。
それを間伐しながら、出して販売し、また次の森を作っていくというのが森林組合の仕事です。
ここ宮川の上流域は、環境的には傾斜が急なところが多く、とても厳しい場所です。
しかし逆に言うと、いろいろな木が育つ環境でもあるんです。
谷があれば尾根があり、いろいろな環境があるので、いろいろな木が育つことができるんです。
少し山の中に入っただけでも、本当にたくさんの木を目にすることができます。

 

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んな森を作るのかを考えての苗作り

どういう森を作っていくかという時に、また同じように杉・ヒノキを植えるという選択肢もありますが、一番大切なことは、その場所に合った木を育てていくことだと思っています。
その森を作るためには苗木が必要になってくるので、森作りのための苗木づくりからスタートします。
山に行って種を取ってきて、それを植えて芽生えさせて苗木に育てます。
森林組合が事務局となって、『大台町苗木生産協議会』という組織を作り、地元の方に育てていただいているという状況です。
現在は100種類以上の木を育てています。
僕がどの木が好きかというと、どの木にも好きなところはあります。
自分の好きな場所で、のびのび育っている木が一番いいなと。
そういう意味ではどの木も好きだし、自然の木が好きです。

 

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木を育てるのにかかる時間はおよそ3年

谷には石がゴロゴロ集まってきますね。
谷に向かって石がたまるというか。
そういうことろにはモミジが育ちやすいんです。
モミジという名前も元は「石にもまれて」というのが由来。
この辺だと『いろはモミジ』などが谷沿いにあります。
逆に尾根には石が少ないため、土が動かない粘土のような土質なんです。
でもそういう場所にはそこに合った木があり、針葉樹のモミや赤樫、シイなどがよく育っています。
木の特性がわかっていると、種が取れるところもわかるので面白いですね。
そして種から育てると、愛おしさが増します。
特に種を育ててくれているのが、地域の高齢の方なので、本当に我が子を育てるような感じです。
出荷するときも我が子を見送るような。
大切に育ててもらっています。
種から植えられるくらいの苗木になるまで、樹種によっても違いますがだいたい3年くらい。
採ってきてすぐ山に返せるというわけではなく、下手をすると翌春に芽が出ないものもあります。
その翌年に芽を出すこともあるので、苗木作りは非常に気の長い作業になります。

 

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ろいろな木がありそれぞれの香りが楽しめる

宮川森林組合では新しい取り組みとして、大台町の森で育った木を使ってエッセンシャルオイルを作りました。
森林組合がアロマというと不思議に思うでしょうが、森作りをする者としては、林業が成り立っていかないと意味がありません。
森林所有者がいて、その人の山の整備をさせていただくという形になっています。
今、林業は木材の価格が低下し、後継者不足などで荒れている山も多くなりました。
今ある杉ヒノキを皆伐し、また同じ木を植えるのか、次は違う木を植え新しい森を作るのか、山の持ち主さんたちと相談しながらどんな森を作るのかを考え、植えられる木の提案をさせてもらっています。
利用できる木の説明をし、一緒に考えていかないといけないと思っています。
その提案の一つとしてアロマに注目し、現在商品作りを進めているところです。
宮川森林組合が作ったアロマ製品は、エッセンシャルオイルのほかに、アロマウォーターや蜜ろうクリームなどがあります。
都会でPRをすると木の香りにいろんな種類があることに驚かれます。
タムシバという木は、枝や葉っぱをちょっと折ったりするだけで、すごい香りがするので、アロマに向いています。
しかしそういった匂いの強い木だけでなく、木はどれも本当に薫りが違うので、楽しむことができるのではと思います。

カナクギの木というのも、あまり聞いたことがないと思います。
採れる量が少ないのですが、昔から薬用植物としても使われていたこともあり、いろいろな可能性を秘めているとの思いから、商品の一つにしています。
採れるところもちょっと標高が高いところなので、珍しい商品として興味を持ってもらえます。